ちょっと気になる話 遠藤孝太郎が見聞きした「気になる話」をお伝えします。
目 次
太古の時代に戻った農政
ご存じ?精米剤と炊飯添加物
着色粒に関する検査規格への誤解に対して 農水省の見解
下の記事に対する農水省の見解です。
米の検査制度にもの申す「三等米エレジー」
ご存じ?精米剤と炊飯添加物
注意しよう,食べる量の多いもの
飽食とグルメ、ダイエット、サプリメント、悪牲疾患、神経障害、不妊少子、子供成人病、凶悪犯罪、戦争、生物の絶滅…−輝いてほしい21世紀を阻む要因は数えきれ
ない。この最悪障害の原因の首謀は人問である。
自らのいのち、健康を守るのは外ならぬ白分自身でなければならなくなった。それまでは国が責任を持って守ってくれると信じていたが、そうではないようだ。
この難の最大の原因は食にある。その食は、すべて等量に採るものではない。従って、より多く食べるものが安全であることが重要である。日本入であれば当然、主食のご飯である。しかし、その消費が半減していることも懸念される。
日本農業の基本である稲作が、生産費を大幅に割り込む低米価で泣いている。花年産は、と期待したが報われない。政府の備蓄米が元凶のようだ。もちろん米の輸入も続いている。16年産は、備蓄米を吐き出すほど作況は悪くはなかった。なのに格安で毎月のように払い下げられ、そして食糧に回された。
大活躍の精米剤
さて、備蓄米は古古米等である。味や光沢の低下、臭いなどがあるから敬遠される。だから途方もなく安い。しかし最近、これらを精米剤でごまかせることがわかり、ピカピカの新米に化けさせているのである。そして、知らずにこれを食べる人の健康が心配である。一方で、16年産米を大量に買い込んだ業者は、値崩れと在庫を抱え、大変な状況になっている。
この古米を精米できるのは、古米専門精米業者である。外食産業では、格安の古米の払い下げを受けて、専門精米業者に委託する。
精米業者は、乳白色の液休精米剤を3倍の水で薄め、古米の玄米60s当たり360mlを噴霧装置で噴霧し、一定時問タンク内に放置してから精米をする。この操作をすると精米時問は短縮され、電気料金も節約できる。その結果、驚くなかれ白度は上昇し、光沢を増し、古臭は消えて新米並に変身する。
乳白色液体成分はプロピレングリコール、乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステル、庶糖脂肪酸エステルである。蔵糖脂肪酸エステルは発癌性が疑われている。
今日まで、古米がまずくないのは、保管技術一低温倉庫やカントリーエレベーターなど〕によるとされていた。外食産業関係者は、その実態を知らない。
炊飯添加物
つぎに、おにぎりや弁当のご飯を炊くときに、以下のような添加物を加える。
@蔗糖脂肪酸エステル:発癌性のほかに農薬、化学物質、脂肪などが吸収し易くなる.Aクロレラ:湿疹などをおこす恐れ
BL−グルタミン酸ナトりウム
Cイノシン酸ナトリウム
Dグアニル酸ナトリウム。これらはナトリウムの摂取を増加させる。高血圧の原因にもなる。
Eパパイン・スピターゼ等酵素(合成、天然物あり)
さらに、おにぎりには食油が使用される。
かくして米が消費に回るとすれば、心配される輸人米にも同じ手口が使われる可能性は否定できない。そして、厚化粧をしたおにぎりや弁当のご飯が、人の体に容赦なく入り込んでいく。
日本人の主食でさえこんな状況であり、あとは推して知るべしである、願わくば、食を家庭で調理して、家庭の食卓で健康を取り戻してほしい.絶対にサプリメントで健康維持はできない。
日本有機農業研究会「土と健康」2005年7月号
着色粒に関する検査規格への誤解に対して 農水省の見解
最近、米のカメムシによる着色粒に関して、農産物検沓規格(1等米0.1%以内)があることにより、農薬使用を助長しているのではないかとの意見があります。また、着色粒の混人により生産者が販売するさいの2等と2等の価格差は流通段階で吸収され、小売価格に反映されていないのではないかとして、検査規格を見なおすべきとの意見があります。これらについては、農産物検査にたいする誤解から生じているのではないかというものもあり、ここで農産物検春についてあらためてご紹介をしたいと思います。
農産物検査は任意、円滑な流通ためにある
米は、年間700万トン(うち農産物検査受検米は400万〜500万t)以上が粒津しますが、牛産着から出荷業者、卸売業者、小売業者間での取引ごとに、30s袋の中身を一々チェックすることは事実上できません。そこで農産物検査では、全同統一的な検査規格にもとづいて商品価値ごとに農産物を分類します。これにより、取引当事者間で現物の確認を必要としない「規格取引」が可能となり、取引の円滑化・流通の合理化を図ることができるのです。
なお、米の農産物検査は義務ではなく、未検査で販売することも可能です。
市場評価が低い着色粒混入米
着色粒の原因はカメムシだけではありません。収穫された生モミの長時問の堆積による発酵米なども多く見られます。ただ、原因はなんであれ、消費者は、白い精米のなかに黒や赤の着色粒が入っているものと、入っていないものとがあれぱ、当然、入っていないものを求めることになり、着色粒入りの米は市場評価が低いということになります.
つまり、着色粒が少しでも混人していると消費者からは返品クレームの対象となり、流通段階からはむしろ検査規格をいっそう強化してほしいとの声が強くなっています.
したがって、着色粒の検査問題は、消費者に.届く前に、産地段階、流通段階のどこかで着色粒を取り除くか、あるいは発生させないこととともにのコストを誰が負担するのかの問題であると考えています。
また、着色粒が混入した二等米を原料とした精米は、色彩選別機を利用したとしても、一専米に比べて精米歩留りが下がるうえ、除去コストが増加するため、1、2等米の価格差が、流通業者に必ずしも吸収されているわけではありません。
さらに、一、二等米の個格差は、白由な市場取引のなかで決まっており、おのずとコストに見合った価格差となっていくこととなります。
このような流通実態の背景から見て、現在のところ、着色粒に関する農産物検査の規格の変更については、関係者の合意が得られるような状況にはないと考えています。
生産者の論理から顧客の論理へ
農産物検査法の目的は、流通の合理化です。そ目的から着色粒の混入限度を定めていますので、農薬を使用したカメム虫駆除を求めているわけではありません。
環境への負荷を軽滅した農法による農産物であれぱ、農産物検査を受検せずとも、あるいは農産物検査の等級にかかわらず、有機JAS制度や特別栽培農産物表示制度を利用して、そのような農産物を求める消費者にアピールしての販売も可能です。
現在、米の生産境場では、市場を通じて需要動向を敏感に感じとり、「売れる米づくり」をめざして、さまざまな取り組みがなされております。顧客たる消費者・実需者へ最高の品質の商品を提供するための努力を当然のごとく受け止め、みずから色彩選別機を導入し、着色粒を除去している産地も多数あります。一方、有機農法等をアピールした生産、販売も活発になっています。産地みずからが商品の品質管理に努めること、お客様である消費者や流通業者を見据えた「顧客の論理」で臨むことが、今後ますます重要となっていくのではないでしょうか。
農林水産省総合食料局食料部 農文教「現代農業」2005年1月号
米の検査制度にもの申す「三等米エレジー」
近年、食べ物の安全性や自然の生態系を守るために減農薬栽培や有機栽培を目指す人が多くなった。その一方で米の検査制度の欠陥から不必要な農薬の散布を強いられている稲作農家の姿がある。そこで私の参加するフォークソンググループ「影法師」はその現実を三等米エレジーという詩にし歌い始めた。
「三等米エレジー」 作詞 あおきふみお
私は米です この秋穫れた
ブランド米の 三等米です
カメムシかじって 見かけは悪いが
味はちっとも 変わりません
※ 何か変だな お上のやること
見かけ良ければ すべて良しなんて
最近はやりのブランド米の品種はイケメンのものが多くなり、未熟粒や腹白などといった昔等級に影響した要因はとても少なくなった。代わって等級に大きな影響を与えているのがカメムシ被害による斑点米である。カメムシは柔らかい米が大好きで、穂が出て間もない時期に汁を吸うためその跡が斑点として米に残る。最近の温暖化による気温の上昇、耕作放棄地など荒れ地の増加により年々その発生が増えると言われている。私はこれに加えて農薬の散布による生態系バランスが崩れた事も大きな原因だと思っている。カメムシの大発生が私たちの快適な生活を求めた反動、農業に対する姿勢の変化が原因というのも情けない話である。カメムシも寒い年は活動が鈍るようで、冷夏だった昨年は斑点米がほとんど見られなかったが、猛暑を通り越して酷暑の今年はどうかかなり気になるところである。
一等二等は 誰が決めるの
農水省の お役人です
勲章だって 等級ないのに
なぜか米だけ 時代遅れです
米の検査は民間に移管されつつあり、だいぶ民間の検査員によって行われるようになったのだが、基準は農水省によって定められている。特に斑点米は明確に数が決まっているため主観が入る余地のないものである。1000粒の米の中にわずか2粒のカメムシの被害粒があると、1等級格付けが下がり2等米となり価格が安くなる。さらに4粒で三等米、8粒では等外となり、米余りを反映して等外になろうものなら屑米同然の値段になってしまう。カメムシの活動状況が農家の手取りに直接大きく響くのである。しかし斑点米で価格は安くなっても食味が落ちるなどということはない。
一等になれば 高く買われて
三等米は 買い叩かれます
だからお百姓は 農薬ぶっかけ
米の見かけを よくするのです
昔、穂が出てからの農薬散布といえばいもち病退治の殺菌剤と相場が決まっていた。ところが今はいもち病の予防薬が発達したこともあり、カメムシを退治するための殺虫剤が主役になっている。カメムシ退治のため、収穫前の40日間に一年間の農薬使用量の3分の1が殺虫剤を中心に使われるという常識では考えられないことが行われている。お米の見かけを良くするためだけに農家は収穫直前のたんぼで農薬にまみれながら散布作業をしているのである。
買い叩かれても ブランド米
磨きをかければ ほらこの通り
高い値段で お店に出ます
等級なんかは 関係なしです
※ 何か変だな お上のやること
見かけ良ければ すべて良しなんて
これほど農家が躍起になり防除しているカメムシが、消費者のところでなぜ問題にならないのだろうか。それは店頭に並んでいる米は精米する時に色の付いた米を取り除く色彩選別機を使い、斑点のついた米粒をすべて取り除いてしまうからである。農家が格付け検査でランクを落とされたお米も、流通段階ですっかりきれいになり店先に並ぶ。カメムシの被害で安く買い叩かれた米も、一等で検査を通過した米も同じに並んでいる。農家から安く買い叩かれた米の差額はいったいどこに消えてしまうのだろうか。
日本で農業が生き残って行くためには消費者の信頼を得ることが絶対条件である。収穫直前の農薬散布の削減は米検査基準の見直し、特に斑点米の数の緩和で容易に行うことができるはずである。こうした制度の見直しを外圧ではなく農家自らが訴えて行くことが消費者の信頼を得るために重要なことであると思う。
影法師 遠藤孝太郎 農文教「現代農業」2004年12月号
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